ドラゲ大阪大会行ったり、SNS大阪オフ参加したりやら色々ありましたが、それを押しのけて「装甲悪鬼村正」の内容について総括&考察やります!いい加減にしろ俺!(汗)
さて今まであえて伏せてたんですが、ストーリーにしろテーマにしろこの作品を語る上で「善悪相殺 」の呪いを説明せずにいるのは無理だと悟りました。主人公の駆る最強の剱冑(つるぎ/鍛冶師の魂が宿る巨大な鎧(見た目和風ロボット))である村正に備わるこの呪いは、「憎む者を殺したなら、愛する者をも殺すべし」(=敵を1人殺したなら、味方をも1人殺せ)という理を使い手に強要します。このため主人公は行く先々で望まぬ殺しを重ねてしまい罪業に悩み苦しむんですが、それでも目的を成すために悪鬼の道を行く……というのがこの物語の概要となります。
テーマ性の強いストーリーであることから扱われるテーマも「善悪とは何か?」「武(≒力)とは何か?」という2点に集中しています。今作が非常に画期的だったのはこれらのテーマを綺麗ごとで片付けず、真摯に真正面から取り扱ったことですね。ストーリー上でも鍵になっている「善悪相殺の『呪い』の真実」とか「武の本質」とかの考え方には物凄い刺激を受けちゃって、これらについて滅茶苦茶考えさせられました。未だにぼーっとしてる時に自然とこれらのテーマについて考えちゃいますもん。(笑)
また主に2ちゃんねるの村正スレで繰り広げられている、コンプリートした後のプレイヤーによる議論も相当興味深いんですよね。一番最後の悪鬼篇における主人公の境遇と決意についてなんですが、「多数の罪を重ね、そして十分に(?)報いを受けた主人公を許せるか」、「悪鬼となる決意の是非」の2点について賛否両論に割れているという状況そのものが面白い。作中で直接語られたテーマもそうなんですが、こうした「その後の議論」まで含めて、魔虚楽踊で扱いたくて現在行き詰っている点なので、この議論の中から突破口を見いだせればいいなと思います。
さてプレイ後しばらく経って、美少女ゲーという観点から見てもこの作品は物凄い画期的なことをしでかしてくれたことに気づきました。今作のライター、奈良原一鉄の前作「刃鳴散らす」は男女間恋愛要素ゼロ、むしろBL要素の方が色濃く、正ルート以外は即バッドエンドという異端すぎる作品だったんですが、今作は比較的王道にならってか正ヒロインをかっちりと決めて、(光と茶々丸については異論も出そうですが)各自のルートも用意されている。しかし問題はその中味です。
僕がこの界隈に本格的にハマる原因の一つとなった作品の一つにPSのギャルゲー&旅ゲー「風雨来記」があるんですが、これ実は1も2も全ヒロインが最後には主人公と別れる(ネタバレのため反転)という凄まじいゲームでして、大体は悲恋モノなんですけど、一部のシナリオで「恋愛感情はあるけど、それでも2人とも己が道を行くために別れる」という展開があるんですね。それが結構気に入って、その後もそういうシナリオを探し求めていたんですけど、この界隈ではあんまり無かったんです。
時は流れ、やがて「各々譲れぬ信念を持って恋愛感情もある2人が、お互いの信念を尊重しつつも、真っ向からバッチバチに激突する」って話を(美少女ゲー界隈に限らず)誰かやってくれんかなぁと思うようになったんですよ。でも「そこまで尖がった奴は流石におらんやろ」と諦めてしまい、自分とこの魔虚楽踊で大量に盛り込んでたりしてたんですね。(笑)
まぁここまで言えばもうお分かりだと思うんですが、村正のシナリオの一篇「英雄篇」(一条ルート)がまさしくコレだったんです。しかし徹底的にやり尽くされたんで、もう自分はええかなとか思ってしまいました。だって頭部を真っ二つにされようが、内蔵を自ら「取り出して」攻撃してくるような、化け物じみたヒロイン(相当な回復力及び痛覚アリ)の信念の重さ(あるいは執念)をどうやって越えろっていうんですか!? まぁ最初見た時はどこの山田風太郎かと爆笑しましたけど。(笑) しかもそれでいて、主人公のことを嫌ってはおらず、むしろ認めているという一見矛盾した構図を見事に成立させたその手腕にはひれ伏すしかありません。
あとですね今回、奈良原が剣術だけじゃなくて幅広い教養があるのを示したのはかなり衝撃的でした。前作よりもギャグを大量に織り交ぜてきたのもそうですし、そのギャグも単純なパロディから風刺系まで自由自在ですし、日本史強いのは予想済みだとしても宗教系や軍事関係、あとは世界史もそれなりに行けそうな気配と、奈良原一鉄というライターの可能性を存分に見せてくれたと思いますね。今後はそれらの一部分を切り取って特化した作品が見てみたいところ。
いやー、たまーにこういう尖がった作品が出てくるからこの界隈おもしれーし、未だに興味が尽きないんですよね~。虚淵玄と田中ロミオがしばらく作品出さなさそうな流れですけど、奈良原一鉄やるーすぼーいみたいな面白い人等が出てくる限り、今後も注目していきますよ!