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作品レビュー

大薮春彦氏の著作は約120タイトルにものぼります。流石に多いので全部は無理ですが、読んだやつをどんどんレビューしていきます。ランクに関しては、やはり賛否両論分かれると思いますが、あくまでも私的な意見なので……文句等は勘弁して下さい。

Sランク

伊達邦彦シリーズ第1弾 野獣死すべし

大薮春彦のデビュー作となった「野獣死すべし」。原点ですね。この作品がヒットして、後に伊達邦彦シリーズとして続作が書かれます。表題作は最初ということもあってか、精神的な描写が多いです。本領発揮といくのはやはり復讐篇。大薮作品の重要なテーマ"復讐"を主軸に、「蘇える金狼」のような悪のサクセスストーリーを組み合わせて、中編の長さながら長編小説並の力があります。渡米篇は完全な作者のお遊びというかパロディで、作者の存命中は文庫に収録されなかったという事情があります。ちなみに3作とも時代設定が1950年〜60年です。

蘇える金狼

自分が大薮作品の中で最も好きな作品。全2巻。筋書きとしては、平凡なサラリーマンの仮面を被りつつ、身体を鍛え、特殊技能を身につけた主人公が暴力と奸計によって、大企業・東和油脂を食い物にする経営陣を蹴散らし、自らその立場に成り上がるというもの。時代設定は東京五輪前=1960年代前半かと。ちなみに最後までに掻き集めた金は、当時の日本円でおそらく10億超えてます。

戦士の挽歌

「蘇える金狼」と並ぶリーマンアクションモノの大作。全3巻。エンターテイメント色が強いが、アクション少な目という変り種。話は、悪徳医師に上手いこと薬売りつけて、その利益を主人公がピンはねして金稼ぎしていくという話。でも面白い。アクション無しでここまで面白いのは意外。同じようなシチュエーションでも飽きさせないのは凄い。相変わらずの銃器・カー描写の綿密さに加え、薬学関係までしっかり書ききってるあたりも素晴らしいです。

ウィンチェスターM70

タイトルは地味だけれども、かなり上質のピカレスクロマン。主役はあくまでも登川。警察まで相手にして、派手に暴れてくれます。主人公はウィンチェスターM70という名ライフルを使いこなすのですが、この扱いがまた渋い。出てくるのは最初と最後だけ。けども強烈な印象を残します。時代背景としては敗戦後間もないということで1940年代後半〜1950年代かと。

Aランク

伊達邦彦シリーズ第2弾 血の来訪者

ついに伊達邦彦が帰ってきました。暴力と策略を駆使して、どんどん目的に向かって突き進む辺りは前巻と変わらず。またライバルキャラとして探偵の津村が登場し、話が交互に進む形式を取っています。彼は警察より手強いです。最後には追い詰めますからね。ある意味、伊達邦彦に勝利してますし。前巻見た方は是非とも見て損は無い。ただ「野獣死すべし復讐編」やら「蘇える金狼」を期待すると、ちょっと外れるかも。

伊達邦彦シリーズ第8弾 野獣は甦える

いわゆる伊達邦彦シリーズ後期、平成版とも呼ばれる作品群の一つ。あの伊達邦彦が「丸くなってしまった」ということで、あまり評価されていませんが、意外と面白かったです。天安門事件直後の日本が舞台です。今回は今までのシリーズに比べ、心情描写がかなり多かったり、涙を流したり、会話多かったり、仲間がいたり……と、かなり変わった感じです。話は中盤でアレが出てきてから、加速度的にぶっ飛んでくるんですが、後半〜エピローグは、スケールの大きさに笑いつつも、伊達の姿にちょっと感傷的になったり。良い作品です。

エアウェイハンターシリーズ第1弾 獣たちの墓標

準備中。

黒豹の鎮魂歌

全3巻。概要通り、復讐モノです。デビィ夫人をもじったようなキャラが初っ端から出てきたり、カルト教団を用いた拷問→惨殺、しかも女性というパターンが珍しかったり、金狼の最初の名シーンをこれまたもじって、パワーアップしたのが出てきたり、復讐相手が曖昧だったのが、どんどん明確になってくるのも面白かったり、最後も駆け足ながらも、良い感じで終わったり……と細い点の話がしたくなる作品。かなり良いです。ちなみに舞台は第一部がヨーロッパで、第二・三部が日本となっています。

長く熱い復讐

全2巻。準備中。

Bランク

伊達邦彦シリーズ第3弾 諜報局破壊班員

準備中。

伊達邦彦シリーズ第5弾 優雅なる野獣

今までとはうってかわって、短編集となります。全5話。「C・I・Aの暗殺者を消せ」はいつもとやってること変わりませんが、暗殺者のキャラクターやらで、非常にコミカルなエンターテイメント作品に仕上がってます。最後の鍋の下りは初読時、吹きました。「連隊旗奪還作戦」はこれは非常に面白い。伊達邦彦ついに、北朝鮮に忍び込みます。流石の伊達邦彦もえらい苦労してて新鮮。恐るべし北朝鮮。最後の「"紅軍派"大使拉致す」もなかなか。いつもの潜入モノですが、最後のどんでん返しが効いてます。

伊達邦彦シリーズ第7弾 マンハッタン核作戦

時系列的には「優雅なる野獣」より前になります。今回の話の面白さは以下の3点に絞られると思います。①黒人じゃないのにKKKと死闘しなければならないこと、②裏切りが頻発する中を上手く立ち回っていくところ、③ラストのスケールの大きすぎる展開。それほどダラダラとしておらず、密度が高い感じを受けました。破壊活動班員時代(諜報局〜優雅)で一番面白いかもしれません。

ハイウェイハンターシリーズ第1弾 東名高速に死す

全3話の短編集。準備中。

エアウェイハンターシリーズ第2弾 狼は罠に向かう

準備中。

ウェポンハンターシリーズ第1弾 戦場の狩人

このあらすじで本編のほぼ9割5分がたを説明してるような気が……(笑) 広い意味での軍事ネタを好き勝手に書いて、ネタが尽きたから本来の復讐の話に戻って締めてみたという感じです。ノリノリで書いてるので、こちらも気楽に読んじゃって下さい。主人公が名を上げようとする戦場カメラマンということで、いつもの大藪ヒーローとは一風変わってますね。

みな殺しの歌 / 凶銃ワルサーP38 続みな殺しの歌

何かシリーズモノみたいな感じですが、実は上下巻の長編です。この作品の主人公は元々気弱な性格というのが特徴。凶銃を持ってしまった時から、血に飢えた復讐者に変わったという筋書きなんですが、変貌後もどことなく線の細いイメージで描かれていて新鮮です。話の展開については無茶苦茶な面が多いんで、もうノリで楽しんで下さいといった感じ。まさか7人(+1人)に復讐するのに、3人殺すので2冊費やして、最後に残った5人はラスト10ページで全員殺害……なんてことが目の前であったとしても、突っ込んじゃダメです。

青春は屍を越えて

全部で8編を収録。全て掌編〜短編クラスのため、手軽に読めます。作品もそこまで酷いのは無く、さっさと読めてしまう辺りが好感度高し。物語の筋もシンプルなので、良い意味で大薮作品の形式というものを体感できる短編集となっています。オススメは「生け贄」と「若き獅子の最期」。大薮作品に慣れた方にお薦め。

輪殺の掟

とりあえず「輪殺」=「まわし」と読みます。かなりぶっ飛んだセンス。中味はお気楽な虐殺アクション。ピンチにもならず、ひたすら暴れまくり。爽快なのは良いんですが、キャッチコピーに偽り有りといったところ。津場単独と本城・岩下コンビの二面から話を追っていく展開となります。

血まみれの野獣

詳しくないので、大藪のレースモノはほとんどこれまで読んでないのですが、意外と面白かったです。中身としてはもうひたすら1963年以降の世界の四輪レース事情を解説しまくりつつ、主人公がその中で駆け上がっていく過程を描いています。三億円事件のモデルと噂されたという話は聞いてましたが、手法自体も全然違いますし。実際に小説通りやれるもんならやってみろっていうのはありますね。(笑)

女豹の掟

非常の女豹の第2作ということですが、かなり後期の作品なんでぶっちゃけかなり期待してなかったんですよ。しかし意外や意外。そこそこ面白かったのでした。なんといってもこのシリーズのポイントは主人公が女性ってことでしょう。いつも通りの大藪ヒーローを上手く女性化することに成功しています。ストーリーの尺の方ですが全体の尺自体も適当〜やや長め程度で収まっており、5人殺す話でちゃんと尺が5等分してたのは感心しました。普通に話にのめり込んでて伊達の登場のタイミングで「そこで出てくるか!」と驚かされたくらいですからね。

Cランク

伊達邦彦シリーズ第4弾 日銀ダイヤ作戦

準備中。

伊達邦彦シリーズ第6弾 不屈の野獣

ついに英国の手先の身分から解放された伊達邦彦が、ハンターシリーズの西城秀夫ばりに、報酬と引き換えに仕事を請けていきます。「優雅なる野獣」と同じく、短編集で全3話。後期作品の特徴でもある強引な展開も多々。「スパイ狩り」は……「優雅なる野獣」収録の「みな殺しの銃弾」読んでたら、読む必要なし。大筋全く同じです。小さくパターン変えただけじゃ駄目だろ!

伊達邦彦シリーズ第9弾 野獣は死なず

これが伊達邦彦シリーズ最終作となるわけですが、平成編らしく心情描写や歳を痛感する場面が多く、ヒロイン(しかも未成年・処女・予知能力者と大藪作品らしくない属性だらけ)もいるし、伊達邦彦の変化を感じてしまってちょっと寂しくなりましたねー。肝心のストーリーはライバルである栗城との対決に焦点が絞られてるのですが、終盤の意識の変化が唐突すぎて、置いてきぼりを食うのは必至。それとアルファの設定が無茶すぎるのはどうにかなりませんか。まさか大藪作品のプロローグで隕石落下シーンを拝むことになるとは思いもよりませんでした。

ハイウェイハンターシリーズ第3弾 狼は暁を駆ける

シリーズ初の長篇小説。準備中。

エアウェイハンターシリーズ第3弾 狼は復讐を誓う

西城秀夫が海外に飛び出して暴れまくるエアウェイハンターシリーズの第3弾。全2巻という長さは初めてとなります。ヨーロッパ各地の風景が魅力的に描かれてるのは良いし、アクションシーンも長く、激しいのがいくつもあるし、悪い点は無いように見えるのですが、どうも長く感じられて仕方がありませんでした。それでもラストの古城→敵本部乗り込みのシーンは凄まじいので必見。ランクに関しては、BにしようかCにしようか、かなり迷いました。

ウェポンハンターシリーズ第3弾 地獄からの生還

まさに作者がやりたい放題にやったという感じの作品。序盤は戦友探しと会社乗っ取りの話が錯綜する上、時系列まで入れ替わってるので混乱します。最後も「実は2つの事件の黒幕同士は手を結んでいた!」とか無理やりすぎてお茶吹いたし、奇病も最初だけ重大事として扱われますが、後半は完治してないはずなのに全然発作起きてないし……。今作はサバイバル関係を本編から脱線しながら丹念に描きました。これがなかなか良く、いつもに比べてドンパチは少なめですが、それなりの面白さ&この作品の個性を作ることに成功しました。

凶銃ルーガーP08 / 戻り道はない 続凶銃ルーガーP08

何かシリーズモノみたいな感じですが、実は上下巻。短編集です。言ってしまうと、同じような話が続くんですけど、頑張って個性を出していて、飽きさせません。各話の主人公も不良学生から社会人、果てはヤクザやら警察官まで色々なのがいます。

絶望の挑戦者

色んな意味で異色な話でした。自動車業界について相当取材したのは良いのですが、やたら説明臭すぎるのが難点。しかも、会話文でそれだったので、かなり萎えました。また主人公の動機の1つが「自動車産業は日本の主要産業であるから、アメリカに乗っ取らせる訳にはいかない」と、普段の大薮作品の主人公らしくなくて、強く違和感を覚えました。肝心のストーリー展開ですが、序盤はなかなか面白かったので、Bランクかなと思いきや、終盤の方はグダグダな展開&駆け足進行&尻切れトンボの終わり方と、ひどい有様でした。結局、序盤Bランク・終盤Dランク――総評Cランクというのを結論としておきます。

Dランク

ハイウェイハンターシリーズ第2弾 曠野に死す

全2話の短編集。ちなみにあらすじは「血と鉄の鎮魂歌」のもの。とはいっても表題作も含めて、イマイチ面白くないです。どちらも中途半端なんですよね……前作と比べてしまうとやはりこちらが劣るかと。

Eランク

餓狼の弾痕

これと「暴力租界」は、かなりの迷作として有名。トンデモ小説紹介に載ったらしいですしね……確かに迷作でした。大藪ファンである自分ですら全部読めませんでした。約400ページあるうちの100ページでもう駄目。あらすじとしては最初に大物を襲い、大金を奪った後、政界にばら撒いたと聞いて、律儀にも名前の挙がった数十人の所へ次々と襲撃をかけるといったもの。問題の本文なんですが、「襲撃→手下殺害→尋問→心臓ペースメーカー型爆弾埋め込み→見せしめ殺害→金奪って撤収→別の所へ」、これを少々内容を変えてひたすら数十回繰り返します。飽きます。立ち読みでネタとしてパラパラと読むならまだしも、買うのは回避推奨。